
大町常盤の家
山とつながる、畑とつながる
東京から長野へ Iターンされたご夫婦の住まいです。雑木林を切り拓いた敷地に薪棚を備えたシンプルな木の家が一軒。ここが第 2の人生、田舎暮らしの拠点です。ナスやトマトなど自分たちが食べる分の野菜は敷地内の畑で自家栽培します。そんな大切な畑とつながる大きな窓に、青森ヒバでつくった夢まどが採用されました。
USERS VOICE
お客様の声

木の家には、木の扉を
東京から長野に移住して 4 年になります。
田舎暮らしの現実は「とにかく忙しい」。敷地内の雑草を抜いたり、落ち葉を掃いたり、畑の野菜の面倒を見たり…… やることが次から次へと出てきます。薪ストーブにくべる薪も自分で割ります。毎冬に使用する量は約 6 トン。乾燥に 1 年はかけたいので、薪割りの作業は実際に使用する 2 年ほど前から始めています。土日ものんびり休んでいる時間はありませんが、まったく苦にならないのが自分でも不思議なところです。
新しい家を“木の家”にしたいと考えたとき、「サッシも木製で」というのは私たちの中で自然な流れでした。ただ、アルミサッシに比べるとコストがかさみます。少し悩んで、庭の畑が見渡せる掃き出し窓と、遠くの山並みを望める引き違い窓だけ、夢まどにしていただきました。フレームが木製であることから生まれる心地良さは、窓を意識していないときでも身体で感じているのだろうと思います。
夢まどの室内側には障子を組み込みました。夏はこれを閉めておくと日射遮蔽効果が想像以上に得られます。逆に冬は、窓ガラスから外へ逃げていく熱を障子が防いでいるのがよく分かります。面白いのは、掃き出し窓と障子のあいだに「外気温よりは高いが室温よりは低い」という絶妙なスペースが生まれたこと。冬はここに日本酒を瓶ごと置いておくと、ちょうどよい冷酒に仕上がります。夢まどと障子による思いもかけなかったコラボレーションです。
Wさん(大町常盤の家・施主)

Architects Eye
建築家の視点

人にも自然にも負荷をかけないこと
当社のコンセプトは、「日本の山を守り育てる」です。そのため、日本の木と人や自然に負荷をかけない循環する素材で家づくりをしています。防虫・防腐剤が塗布され、 輸送時に多量のCO2 を排出する外国産材は NG。サッシも例外ではありません。
木製サッシはメーカーごとにいくつも種類がありますが、当社がモデルハウスや実際の物件で採用しているのは夢まどです。モデルハウスがあるのは八ヶ岳の麓です。冬場の外気温はマイナス 15℃に達するほど過酷な環境です。けれど、夢まどはその断熱性能の高さから窓廻りの結露がほとんど見られません。窓を閉めた際の遮音性能も非常に高いものを感じています。また、数値上の性能ではありませんが、夢まどのフレームを通して見ると八ヶ岳の景色がいつまでも飽きずにぼーっと見続けていられます。そこにも何か秘密があるのでしょう。
「大町常盤の家」は、この土地に移り住まれたお施主さんが、敷地から見える大好きな風景を切り取れる位置に夢まどを設けました。一つは、里山をバックに田園風景を望む西側の腰窓、もう一つは、敷地内の「小さな森」である庭や畑を眺める南側の掃き出し窓。木製のフレームが自然素材の家の質感とあいまって優しい雰囲気を醸し出します。
設計者心理としては、南側の掃き出し窓は 4 枚建てのフルオープンサッシにしたいところです。けれど、この家のイメージにはサッシ枠が増えてごちゃごちゃしないほうが合うと考え、枠が少なくなる 2 間幅の引き違いを選択しました。木製サッシはアルミサッシに比べて枠の見付けが太くなりますが、窓のサイズが大きければ枠の存在感が薄れガラス面も大きく取れます。枠が風景の邪魔をしません。外観は、窓上に小庇を設けて窓の連続性を強調し、全体にすっきり見えるデザインとしました。お施主さんは「窓越しに庭を眺めている時間が好きです」とおっしゃいます。木製サッシのある家で心地良い毎日を過ごされているようで、とても嬉しく思っています。
伊東 夏子(アトリエDEF / 大町常盤の家・設計者)
Gallery
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建築種別 | 戸建て住宅 |
設計 | アトリエDEF(伊東夏子) |
施工 | アトリエDEF(長野県上田市) |
窓種 | 引き違い窓(ヘーベシーベ) |